それから-6

2CVのトランクの開き方には、個体により2種が存在します。
A. ハッチバック風にリアガラスごと一体となって大きく開くタイプ。
B. リアガラスは固定され、その下のみが通常のトランクとして開くタイプ。

左→A 右→B

過去に乗った2CVは1986年フランス製と1990年ポルトガル製で、いずれもトランクタイプだったから製造国による違いでもないし、チャールストンやスペシアルなど其々両タイプを見たことがあり、よくわからないままでした。

そして、現在の巨匠号は最終期の1987年フランス製ですが、これはリアガラスごと開閉するタイプでした。
実用上はどちらも大差ないけれど、強いていうなら開閉するたび幌が少し折れ曲がるよりトランクタイプのほうがいいかな?というぐらい。
あるときYouTube動画を見ていると、2CVに詳しいメカニックという人が出てきて、これはどちらでもお好み次第というのを初めて知って「そうなんだー!」と驚きました。

あらためて実車を見てみると、たしかに根本的な違いがあるわけではなく、どちらにも成り得ることが判明。ducaさんにいうと、その眼力はすぐさま構造を穿って、「あ、できますよ、やってみましょうか?」と言われましたが、そのためにはトランク式にした時の金属の支え棒(ステー)が見当たらないから、まずそれを準備するのが先決となりました。

すぐネットで調べられたらしく「あれぐらいなら、私が作りましょう!」と言われ、後日その材料購入のためホームセンターまでの往復したときにC5に乗せていただき、それが2つ前の投稿に。

ネット上に2CVの画像はあまたあるも、トランクを開けてその構造を示す写真というのは少なく、ducaさんはわずかな手がかりから、それが直径6mmの鉄の棒であることまで看破され、ありふれたS字型のロングフックから、ステーをつくり出す構想が出来上がったようでした。支点側にはゴムワッシャーみたいなものがあったというと、すぐにそれも理解されグロメットというゴム部品も合わせて購入。

数日を経て、LINEに「いちおう出来ましたが、しょせんはシロウトの手作りなので…」とあったものの、さて現物を見せられたとき、その見事な出来栄えにのけぞりました。

ただのフックがご覧のとおり変身。

写真のとおりの純正品と見まごうばかりの仕上がりで、きれいなアール、グロメットなるゴムパーツのその奥には、さらに隙間を埋めるべく小さな輪がピチッと埋め込まれており、車体側への差し込み部分には、ずり落ちないための溝があったという私の証言から、そこもしっかりと切り込みが入れてあるなど、太さ、長さ、曲がり具合まで驚きを超えてゾワッとくるものがありました。

(1)グロメット〜ワッシャー〜Eクリップ。(2)内側にはバイク用のフューエルパイプが隙間なく嵌めこまれています。(3)固定のための溝。(4)取り付けた状態。

こんな会話が…
「なにか機械があるんですか?」「いいえ」「どうやって切るんですか?」「金ノコですよ」「どうしたらこんなにきれいに曲がるんですか?」「いやあ、小さなホビー用の万力に挟んで叩いて曲げただけです。それ以外にやりようが無いでしょう?」「、、、」といった具合。

寸法などを紙片にササッとメモしてポケットに突っ込んで行かれたけれど、それで実際に取り付けてみると、なにもかもあまりにバッチリなのにはちょっと怖くなりました。

この完璧なぴったり感、ヤバすぎませんか?


ご当人は「よかったよかった!」と軽やかに笑っておられますが、見本もなければ実車もナシ、どうしてそんなことができるものか今もってナゾです。

補足;ひとつ思ったことは、(A)のほうがリアガラスごと一体のハッチにするため金属パイプがかなり使われており、コスト面ではトランクタイプのほうが安価な仕様だったのかもしれません。

「トランク式になったおかげで、僕のベッドができたよ〜!」

それから-6」への4件のフィードバック

  1. とうとう関東でも37℃を超えました。。洗車とタイヤのローテーションなんぞと考えてましたが日が暮れないともはや外に出たく無い毎日。
    そちらも想像に難くない状況故にご自愛ください。
    さて、楽しみにしております2CV日記。今回は凄いですね、日曜大工のレベルじやないです。
    色んなものがシンプルに出来ていて、いい大人の愉しみになってると伺えます、尤も基本的な知識と技術があっての事ですけど。
    しかしお見それしました、叩いて作製する!部品まで造って。
    前途は明るいですね。
    しかし乍ら、猛暑ですので無理をされないように

  2. 2CVの作業も内容的に一段落したことと、なによりこの暑さですから、しばらくお休みになりそうです。
    本当にあの出来栄えはプロ並みでびびりました。「叩いたから傷がありますよ」と云われますが、私の目にはそれらしきものは確認できません。
    梅雨と迫り来る暑さで、2CVはこのところ半月ほど乗っていなかったので、昨夜30分ほど走らせましたが、エンジンは簡単にぷるんとかかってその後も快調、よほどキャブ調整が適切だったのだろうと思いました。
    タイヤローテーションはご自身でやられるのですか?
    C6はタイヤ/ホイールも相当な重さゆえ、くれぐれも腰を痛められませんように!

  3. 返信ありがとうございます。
    今夜は特に熱帯夜で、明日も暑くなるようです。まだ7月に入ったばかりなのに先が思いやられます。
    さて、近所のタイヤ屋さんに夕方から予約しました。
    知識も体力も無いもので専ら専門のお店でお願いします。
    自宅からタイヤ付きのホイールを運ぶだけで、消耗しました。。
    タイヤ以外にも重い物を付けて高速で走っているとは、足回りも痛む訳ですね。
    2cvは手を入れてやって良い状態になって来ましたね。手間をかけてやると答えてくれる、今の車には無い物を味わえるのは素敵な事です。
    そのうち載せてくださいませ。

  4. 機会がありましたらいつでも乗ってみてください!
    現代の車はあまりに高度化し洗練されつくして、その恩恵には与りつつも、人とクルマの情愛みたいなものは離れていく一方なのは残念ですね。

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