2CVを…

上の写真は1993年5月、CCQ二回目のミーティングを唐津の鏡山でおこなった時のもので、このとき巨匠は2CVでの初参加でした。右端が巨匠、後列左から二人目が私(みんな若い!)。
…この時から32年が経ったわけです。

早いもので、巨匠ことTさんが亡くなられて1年以上が過ぎました。
昨年のいつ頃だったか、ご子息より、残されたシトロエン(GSクラブと2CV)をクラブの方に譲りたいというお申し出があり、GSはすでにご案内の通りで、2CVのほうは私が譲っていただくことになりました。

同じく1993年7月、第4回のミーティングでは、雨だというのに自らクランク掛けを披露される巨匠。まわりは傘をさしかけるが、濡れた背中ににじむ情熱に注目。キャップはダブルシェブロンの模様入り。

いまさらという感じもあるけれど、巨匠のワンオーナーカーでもあり、これも最後のチャンスだろうと思ったことと、逆に、近頃のようにクルマがあまりにも複雑なハイテクまみれになってしまうと、むしろ2CVのようなプリミティブな車に戻ってホッとしてみたいような気分も湧いてきたこともありました。

秋ごろには引き取るつもりだったのが、腰のせいでそれどころではなくなり、これが思ったより長引いたたこともあって、とうとう先月下旬、車載車に乗せられて2CVのほうが福岡に来てくれたのです。

本来なら私が佐賀へ取りに行くべきところ、ナンバーが切られているため、整備後の試運転もななまらないようで、それに仮ナンバーを付けて大移動することに不安もありました。
数年眠っていた2CVをいきなり路上へ引き出し、[山越えルートで50km]もしくは[高速を使えば70km以上]を無事に走破して我が家へ連れ帰るだけの自信もないし、今の私はといえば、運転も長らくAT車に慣れ切ってクラッチ操作もおぼつかないだろうし、まだ腰の不安もあり、くわえてメカオンチゆえ途中で何事か起きれば万事休すです。

それを察してくださったのかどうかわかりませんが、「車載車を借りるツテがあるから、なんなら運びましょうか?」という耳を疑うようなご提案をいただき、この際、深謝しつつお言葉に甘えてしまいました。

〜で、図に乗るようだけれど、ナンバーがついていないのだから、どうせ積載車で動いてもらえるならばと、車検をお願いする工場まで足を伸ばしていただいたのです。

私をその気にさせたのは、ハイドロ同様に2CVとの生活には20年を経ていまだ忘れがたい、楽しい記憶が鮮明だったからです。
むろん素性の確かな巨匠の愛車というのも大きな理由でしたが、さらにはフランス製最終期の1987年の一台だったこともありました。

まさか、あの2CVを引き継ぐことになるとは思いませんでしたが、まったく妙な取り合わせとなる新旧シトロエン。地面に降りたところで、工場内を数メートル動かしてみましたが、いきなりプスンとエンストしました。

製造国といえば、現在のシトロエン/DSでは、モデルによって中国製であることが予めアナウンスされているぐらいだから、我がC5エアクロスも中国製の可能性が…と思っていたところ、2月のお茶会のときオーガニゼーションナンバーとやらを教えていただいたところ、果たしてフランス・レンヌ工場製ということがわかり、少しニンマリでした。

むろん、いまどきはどこ製でもべつにかまわないし、iPhoneだって中国製、タイヤやバッテリーもアジア製を受け容れており、それでどうとも思わないところまで認識はできているけれど、それでも心情としてはフランス製であるほうがちょっとは嬉しいわけです。

2CVはこれから車検・登録してナンバーを付ける予定で、またご報告します。

(左)フランス製の証『SaintGobain』製の窓ガラス。
(右)ボンネットは黒に塗り替えられており、ご子息は「オリジナルではなくなっている…」と仰せでしたが、私はさほどオリジナル至上主義ではないし、これはこれで黒い子猫みたいで悪くないと思いました。

2CVを…」への8件のフィードバック

  1. 無事に引き取られたとのこと、おめでとうございます。
    あの日、別の車庫にボディカバーをかぶっていた2CVが拝見できて、ボクも嬉しく思います。さすがは巨匠のワンオーナーカー、コンディションは良さそうですね。颯爽と福岡の街を走る姿が目に浮かびますね。

    GSはお知らせしたとおりで、少し時間がかかりそうですが、2CVと並べられる日を夢見て、整備を楽しみたいと思います。

  2. まだ車検と登録で、そろそろだろうと思いますが、さて無事に終わるかどうか。
    そこがクリアできたにしても、次は私がまともに乗れるかどうかも、まったく自信がありません。
    むかしの経験をどこまで身体が覚えているか、あまりにブランクが長すぎて不安のほうが先行していますから、まずは基礎練習からです。

    そうですね、いつかGSと再会させたいものです!

  3. 関東のお茶会にブルーグレーの2CVで参加している中嶋です。
    シトロエンの基準車高の出ている珍しい個体だと思います。
    残っている2CVはこの基準を保っている個体は少なく思っています。
     摩擦式のダンパーがもしヤレていましたらカヤバのオイルダンパーにでも交換されるとよいかもしれません。
    ド、カルボン製のガスダンパーは調整がむつかしいこともありいろいろ試しますとカヤバに落ち着きました。

  4. chiracさん、
    巨匠のレガシーたちも収まるところに収まって良かったですネ~、きっと御安堵の事でしょう・・・。

    32年前、巨匠共々パリッパリにお若いですね~。
    今もそうですが、当時の方々は少数派?乍ら 特にシトロエン乗りとしての矜持/心意気に溢れていたように思われますね~。
    現在の首都圏チームの活動も旺盛な活気に満ちあふれ、当時のそれに近いように感じられるところです。

    九州に於いてはひところの結構な熱中時代を通り過ぎ凡そ落ち着いた安定期で経過しているのかも知れませんが、当2CVをトリガーとして再び炸裂するのかも知れませんぞ!?
    それでも矢張りCCQへのNewcomer/Newmanは切望するところですね。

  5. 中嶋さんは車高に一家言お持ちで、見ただけで多くを判断されると伺っていますので、なによりの励ましです。
    カヤバといえば、C6のサス制御から最近ではPHCまで関わっているようで、2CVのダンパーまであるとは頼もしいというか、気がつけばシトロエンをかなり支えるメーカーなんですね。
    2CVは実際に乗って触っている方が一番の頼りですので、よろしくご教示ください。

  6. ducaさん
    巨匠のクルマと思うと、なんだか伝統継承のようでもあり、どうなることやらです。
    むかしはクルマ趣味が輝いていた時代でもあり、みなさんガッツがあり、良い思い出です。
    まだCCQが続いているだけでも恵まれており、近年は関東の皆様による思いがけないお力添えもあって心強い限りです。

  7. 記事を拝見して驚愕と共に、英断されましたね。しかし2台共に身内に引き取られて本当に良かったです。
    さぞかし巨匠も彼の地でお喜びだと思慮しfます。
    お身体と相談しながらぼちぼちと路上復帰くださいませ。
    しかしながら極上の2cvに同乗したくなりますねー。福岡のお茶会に参加したくなりました。。
    ときに、掲載の写真。皆様お若い!
    月日の経つのは早いですよね、言葉では表せない沢山の想いでがあるのでしょうね。また折に触れて教えてください。
    僕も腰痛持ち故に、好きなクルマの運転は最優先です、どうぞご自愛くださいませ。

  8. ewsさん、ありがとうございます。
    それほど極上というわけではありませんし(巨匠には失礼ですが)、まずは素材をゲットしたというだけで、きちんと走るようになるには、これから時間はかかるでしょう。
    クルマにとって、ナンバーが切られて何年も経過したということは、それなりのハンディにはなると思います。
    本当に時が経つのは早くて残酷ですね、まあこればっかりはお互い様ですけど…。
    私のほうこそ関東会にお伺いしたいですよ!

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