
漱石のようなタイトルですが、2CVは、なんとか車検と登録を済ませて、ともかく我が家にやって来ました。
しかし、エンジンの調子も良いとは言い難く、信号停止でストール気味だし、ブレーキの効きもイマイチ、マフラーは長い放置期間が祟ったのかサビサビだったり。
一定の整備はやっていただいたようですが、ナンバーがないため試運転ができなかったこともあり、路上復帰にはもう少々かかりそうです。
いっぽう、心配していた運転については、10分も乗ると昔の感覚がスルスルと蘇ってきて、クラッチ操作も独特なシフトパターンも思いの外すんなりできたのはホッとしました。若いころにやったことは、やはり身体が覚えているんですね。
で、20年以上ぶりに2CVを自分のガレージに入れてみてまず驚いたことは、C5エアクロスとのあまりのボディサイズの違いで、これは想像以上でした。

全幅は185cmに対して、2CVはわずか148cmと37cmも狭いし、車輌重量は車検証によれば570kgとほぼ3分の1。
そんな小さなナリであるにもかかわらず、存在感は強烈で、フラミニオ・ベルトーニの造形は、どこから見ても破綻がなく完成されており、車ではあるがオブジェでもあると感じます。
でもオブジェと言っても、お高くとまったものではなく、見るなり人を笑わせる愛嬌にあふれたオブジェなのです。
納車された日の夕刻、近所をちょっと回ってみたら、いきなり近くの女子校の生徒の一団に出くわし、好奇の目と同時にキャキャキャッというかん高い奇声を浴びてしまいました。
今どきは、フェラーリやマクラーレンでもあまり人目は引かず、大抵は周囲も無関心だけれど、2CVは人の視線を向けさせることにかけてはあきらかに昔以上で、とくに赤黒のチャールストンは塗装も大げさで時代がかっており、これは相当な覚悟を要するなぁと思いました。

まずはマフラーの交換が先決のようで、それについては比較的近くにお住まいのTさんが鋭意協力してくださるそうで、なんとも心強い限りです。
さしあたり自分でできることといったら、せいぜい掃除をするぐらいなので、黒い汚れがどんよりと堆積していたエンジンルームを、三夜にわたり1〜2時間ずつかけてせっせと磨いてみました。
これでも、かなりきれいになったのですが、掃除前の写真を撮っておくべきだったと後悔しているところ。

それと、部品のオーソリティであるSさんが調べてくださったところでは、フランス/イギリスには2CV専門のパーツショップがあり、その品揃えたるや異様なほど充実しており、すべてのパーツを集めたら新車が一台出来あがるほどで、実際あちらではそうやって組み上げることで、新車を作って販売している例もあるとか。
C5/C6などで、パーツ調達にご苦労をされているのをいつも目の当たりにしているだけに、この点は本当に驚くしかありませんし、おまけに2CVのパーツはどれもお安いので非常に助かります。
将来に向けて本当に安心して乗れるシトロエンは2CVかもしれず、皆さんもおひとついかがですか?
