日本配送不可な商品をフランスから輸入する方法

新潟のcongです。ここ新潟も春が来たようで、雪はすっかりと消えました。さて、フランス車乗りでありながら、今までパーツはもっぱら英国やオランダからの輸入に頼っていました。一番の理由は日本人にはハードルが低い英語で対応してくれるということもありますが、彼らが商魂たくましく、海外配送も厭わない点が大きいと思います。しかし、フランス車です。フランス本国には豊富な中古部品などのパーツがあるだろうと思われます。たぶんお宝の山でしょう。これらを購入できたら楽しいだろうなぁと考えたことがこのトライアルの動機です。色々と調べて、フランスの中古部品についてはOpistoがとても面白いと感じました。アドレスはhttps://www.opisto.fr/です。

このサイトは所謂フランスの解体業者のネットワークです。2人のフランスの若者が立ち上げたサイトです。色々な解体業者が自社の解体車や中古部品を登録していて、それを検索・購入できるとても便利なサイトです。しかも、クレジットカードでお買い物ができます。Wiseなどの海外送金サービスが不要なのも助かります。日本でもこんなサイトを業界で作ってもらえば助かるのになぁと感じます。利用方法については先ずはアカウントを作成します。右上の人型のMon compte(マイアカウント)をクリックしてCreez votre compte(アカウントの作成)のparticulier(個人)をクリックします。そしてE-mail、Mot de passe(パスワード)、Confirmation du mot de passe(パスワード再入力)、Prenom(ファーストネーム)、Nom(ファミリーネーム)後は承認事項を3つチェックしてCreer mon compte(マイアカウント作成)をクリックしてアカウント登録終了です。そして、パーツを検索してみます(ちなみに商品検索だけで購入なさらないのならアカウントの作成は不要です)。

ここではシトロエンC6の中古パーツを検索してみました。左上のpieces(部品)をクリックしてpieces auto d’occasion(中古自動車部品)をクリックしてから、Recherche par marque(メーカーで探す)をクリックしてChoisissez une marque(メーカーを選べ)→Citroen、Choisissez une modele(モデルを選べ)→C6を選択します。そうすると300ページ以上ものリストが現れます。ところが、サイトの中央上のLivraison en…(…への配送[配送先の選択])でJaponを選ぶとパーツリストは見事にゼロになります。やはり、日本への部品配送OKの業者はフランスではほとんどありません。今まではここであきらめていました。eBayでもありますよね。Does not ship to Japanという商品が…。しかし、近年、こういった問題を解決する国際転送サービスが現れています。どんなサービスかというと商品を一旦業者が配送可能な国の倉庫で受け取ります。そして、その受け取った商品をサービス利用者の国まで転送してくれるサービスです。これなら、日本に配送不可な商品でも購入可能です。私が選んだ業者はBuyandshipです。アドレスはhttps://www.buyandship.co.jp/です。こちらは日本語のサイトなので使用方法はあえて説明しません。

たぶん、海外の業者でもっと安価な業者があるかもしれませんが、日本語対応が可能な日本の会社を選んでみました(本社は香港ですが、こういた目の付け所やビジネスマインドは中国人はさすがですね)。受け取り倉庫は英国とイタリアがありますが、私はイタリアを選びました。先のOpistoの配送先でイタリアを選んだ場合、業者はほとんど減りません。フランスの業者はヨーロッパ圏内は配達OKのようです。実際にこの方法で希少パーツを購入した方のレビューがみんカラで見られます。アドレスはhttps://minkara.carview.co.jp/userid/768299/car/2685616/5074205/note.aspxです。ただし、国際転送業者は違うようです。激高です。私が選んだBuyandshipは転送料金+日本までの配送料金で英国やイタリアから3lb(ポンド)[1.36kg]まで2,800円で、それ以上は1lb[0.45kg]増すごとに700円追加となりますが、私は比較的リーズナブルだと思っています。今は購入した商品の日本到着を待っているところです。私は目当てのパーツをリーズナブルな価格で購入できて満足しています。ただし、フランス語のサイトはひょっとしたらハードルが高いかもしれません。そんなときは翻訳サイトを活用しましょう。私はGoogle翻訳をお勧めしません。結構、誤訳が多いです。ディープラーニング翻訳をお勧めします。アドレスはこちらです。https://www.deepl.com/です。余談になりますが、その他にも色々なお役立ち記事を自分のHPにアップしています。「ハイドロマニア」で検索、ご高覧ください。

sphereと乗り心地の関係について

新潟のcongです。皆様雪害は大丈夫だったでしょうか。こちらはテレビニュースで報道されるほど悲惨な状況でしたが、ハイドロのおかげで悪路を走破して無事帰宅できました。さて、本題ですが、ハイドロシトロエンには様々な種類のsphereがあるために、形状・容積・窒素圧・orifice径などこれらの物理的な要因がサスペンションの快適性に「どのように」、「なぜ」影響するのかを理解するのは簡単なことではありません。
 ハイドロシトロエン乗りなら、誰でも経験から分かることは、ガスが抜けてsphereの圧力が低下すると乗り心地が悪化するということです。一見、同じ容積なら、ダンパーのように気体の圧力が小さい方がサスペンションは柔らかいのではと思われます。私の知り合いの理科の先生もそう答えました。しかし、ハイドロニューマチックシステムでは真逆になります。それはポンプによりシステムが常に145~170barに加圧されているからです。
 便宜上、単純化して考えてみます。例えば、400ccで初期圧力40barのsphereがあるとします。初期圧力とはsphereに刻印されている圧力です。そして、サスペンションシステムの動作圧力が100barだと仮定します。イグニッションをオンにすると、サスペンションが定位置になるためにオイルがポンプによって送り出され、sphere内の窒素が動作圧力の100barまで加圧されます。高校の理科で習ったボイルの法則で、温度が一定なら気体の体積×圧力は一定なので、そのときの体積は400×40÷100=160ccになります。
 もし、同じ容積で初期圧力80barのsphereなら、動作圧力100barまで加圧されたときの体積は400×80÷100=320ccになります。同じ動作圧力ならば、よりガスの体積が大きいsphereの方が、初期圧力が動作圧力を超えていない限り、柔らかいということになるでしょう。また、sphereのダンパー穴orificeが大きい方が減衰力が低く、乗り心地が柔らかく感じられるというのも穴ほじりをしたことがあるハイドロ乗りならば経験するところです。

 つまり、容積が大きく、窒素圧が高く、orifice径が大きいsphereほど乗り心地が柔らかいと考えて良いと思われます。

上の表は私が調べた各種sphereの容積・窒素圧・orifice径の一覧表です。主に日本導入モデルを中心にまとめてみました。特に前段の表ではC5のsphereのバリエーションについてまとめてみましたが、年式やグレードで多岐に渡ることが分かります。他のバネ車ならば、コイルスプリングやダンパーで調整するところをそれぞれのグレードの特質を考慮してsphereで細かく調整しているのだと思います。こうやって見るとCXのsphereが一番柔らかい感じがします。逆にハイドラクティブサスの車はorifice径がかなり小さいことが分かります。逆に、下の図のように同じC5でもハイドラクティブ3(アド球を持たない電子化されたハイドロニューマチックと言われているようですが)の車は1.90/1.30のようにorifice径が大きいので、アド球の存在や、アド球のorifice径や、ハイドラクティブレギュレーターのダンパー径(ともに直径1.10mmという噂です)や、ハイドラクティブレギュレーターの配管の大きさ(10mmという話を聞きました)などが関係しているのかなとも思われます。

C5 Phase1のsphereスペック表(Automobile Citroen C5 Handbook Private cars 2002 P.210)

1つ未解明なのが、C5のsphereの表示です。今までのsphereは500/75/1.90のように容積・窒素圧・orifice径が表示されていましたが、C5以降のsphereの場合にはハイドラクティブ3も3 plusの車もsphereのスペック表示のorifice径のところが0.90/0.48のように数字が2つになっています。これが何を示すのか、海外の掲示板を見ても意見が錯綜しています。leaf valve等の仕様変更で新たな可変ダンピングシステムを持ち、orificeの大きさが切り替えられるのか、よく分からないのが現状です。詳細な情報をお持ちの方がおられたら是非ご教示いただきたいと思います。

上の画像はXMのleaf valveのカッタウェイ画像です。右上のように直径3mmの穴が8つ空いています。4つの穴が飛び出ています(凸穴)。残りの4つ穴は引っ込んでいます(凹穴)。そして、裏側は逆になっています(凸→凹、凹→凸)。イン・アウトどちら側に流れるにしても、凹穴から入ったオイルを、出口の凸穴上のスプリングワッシャーがフタになってふさぎますので、大きな油圧がかかった時だけスプリングワッシャーが押されてオイルが流れるという仕組みです。

私事ですが、今、Xantia Actvaに興味を持って色々調べて楽しんでいます。メカ好きにはたまらない代物です。ただ、本当に資料が少なく、フランスからのつてでなんとかシトロエン本社刊行のサービスマニュアルと技術資料を入手しました。その中にActiva suspensionとHydropneumatic、Hydractiveソフトモード・ハードモードの違いの説明ページがあり、興味深かったので以下に紹介いたします。

シトロエン社技術資料(Cours Citroen sur le SC-CAR des Xantia Activa p.7より抜粋)

Ⅱ- ROULIS ET SUSPENSION HYDROPNEUMATIQUE

A – RAPPEL DU FONCTIONNEMENT AVEC UNE SUSPENSION HYDROPNEUMATIQUE CLASSIQUE

Avec une suspension a ressorts metalliques ou pneumatiques, lors de la mise en appui dans un virage, la roue exterieure comprime sa suspension, ce qui limite le roulis. Or, avec une suspension hydro-pneumatique, les deux elements d’un meme essieu etant relies hydrauliquement, le liquide de l’element comprime est refoule vers l’element en detente et donc ni le volume, ni la pression ne varient dans l’element comprime, ne s’opposant pas au roulis. L’effet d’antiroulis n’est assure que par les barres antiroulis, ce qui explique leurs fixations rigides (rotules).

直訳すると

Ⅱ – ロールおよびハイドロニューマチックサスペンション

A – 従来のハイドロニューマティック サスペンションでの操作上の注意事項

説明図:「Pg(Pressure gauche:左[sphere]の圧力)= Pd(Pressure droite:右[sphere]の圧力)、Vg(Volume gauche:左[sphere]の体積)= Vd(Volume droite:右[sphere]の体積)は不変である。従って(ステアリングを急に右に切った場合、アウト側の左脚が圧縮され)その結果としてオイルが左から右に流れ(その結果として右脚が伸びて)、左方向のSens du roulis(ロールが検出される=ロールを防げない)となる」と解釈されると思います。

説明文:金属サスまたはエアサスでは、カーブで車体が押し下げられると、アウト側の車輪がサスペンションを圧縮し、ロールが制限されます。 しかし、ハイドロニューマチックサスペンションでは、同じ車軸(左右)の 2 つのsphereが油圧で関連しており、圧縮されたsphereの液体が膨張中のsphereに向かって流れるため、圧縮されたsphereでは体積も圧力も変化せず、ロールを抑制しません。アンチロール効果は、アンチロール バーによってのみ提供されます。これは、そのリジッドマウント (ボール ジョイント) のことを説明しています(のことです)。

この技術書によれば、ハイドロニューマチックサスペンションでは他のエアサスとは異なり、左右sphere内の気体の圧力と体積が一定のために、オイルが積極的に左右に移動する(etre relie = 関連する)と理解するのが適当なのかなと思います。関連されている懸架 les suspension relies、訳として少し違う気がします。英訳の the interconnected suspensionで検索するとHydropneumaticがちょろっと出てきます。この訳が一番しっくりする気がします。

こうやって色々調べたきっかけは、C5 Phase2の乗り心地が好きでずっと乗っておられる方が何人かいて、何か科学的な根拠があるのかもと考えて、歴代C5のsphereスペックを調べ始めたのがきっかけです。C5のorifice径の資料が乏しくて解決には至らなかったのですが、もし、ご存じの方、ご教示いただけたら、嬉しいです。長文、本当に失礼しました。自分のブログだと過ちを正してくださる方がいないので、正しい知識を教えていただけるCCQの存在は貴重です。感謝しかありません。皆様、良いお正月をお過ごしください。

引用:french car forum、Citroen BX do-it-yourself、Activa club France

I.F.H.S.のsphereについて

新潟のcongです。さて、I.F.H.S.のsphereはサードパーティー・アフターマーケットsphereとしては最も有名なものの1つだと思います。先にI.F.H.S.のsphereに言及したときに、I.F.H.S.はもうサイトが閉鎖されたのではないのかというご指摘をいただきました。そう言われて、I.F.H.S.をキーワードにネットを色々なサーチエンジンを使って検索してみたのですが、一向にそれらしい会社にヒットしませんでした。もう、ハイドロをシトロエンが止めたので、今後の事業の将来性を考えて撤退したのかもという疑念が頭をよぎりました。しかし、撤退したという決定的な情報もなかったので、ヨーロッパのシトロエンフォーラムで尋ねてみた結果、会社のメールアドレスを聞くことができました。そのメールアドレスにメールを送って会社の状況について直接聞いてみることにしました。その結果、すぐに担当のErick Elsenさんから返事が来ました。
I.F.H.S.のサイトのアドレスはwww.hydraparts.be.だそうです。また、製品の注文はorders@hydraparts.be.にお願いしたいとのことでした。実はI.F.H.S.は卸売会社で同じ住所にあるNV Hydra Partsが製造を担っています。NVはオランダ語のNaamloze Vennootschap(ナームローゼ・ヴェンノーツハプ)の略で日本語の「株式会社」に当たる語です。私的にはベルギーというとフランス語圏という意識がありましたが、Erickさんの名前を見ても分かるようにNV Hydra PartsがあるLummen(ランメン)はオランダ語圏のようです。こちらのHPは更新のため、2022年は2月28日~3月4日、7月11日~7月29日、12月22日~12月30日は工事中となる予定だそうです。さらに突っ込んで質問してみたら、私たちが閉鎖されたと思っていたサイトはたぶん、Hydra Parts社のサプライヤーの1つのHPだろうということでした。私が、メールしたときも、私を日本のパーツサプライヤーの人間と勘違いしたらしく、年間・月間の販売想定数や資本金を聞かれたのはご愛敬でした。メーカーにメールを送ればそう思われても仕方ないですね。さらに調子に乗って、sphereを純正部品としてシトロエン社に納品しているかも尋ねてみました。回答は、単層のダイヤフラムを持つタイプについてはシトロエン社に納めているが、多層ダイヤフラムの製品は違うとのことでした。英仏の掲示板を見るとKYBが多層sphereを作って納めているという噂もありますが、実際のところどうなのでしょうか。ヨーロッパの自動車業界新聞Automotive Europeで日本のKYBがハイドロニューマチックのショックアブソーバーをC6ために供給していると書かれているので可能性は大だと私は考えますが確証はありません。

こちらのリンクをご覧ください。(C6のパーツサプライヤー一覧の記事です)
https://www.autonews.com/assets/PDF/CA3704129.PDF

 最後に教えていただいたのはI.F.H.S.の偽物が流通しているので注意して欲しいということです。下の画像をご覧ください。右と左とどちらが偽物かお分かりでしょうか。

見分けるポイントを教えてもらいました。

1.ねじ溝の形成不良(偽物はねじ山のつぶれが散見される)
2.アウターバイパスワッシャーの厚みの違い(偽物はやや厚い)
3.セントラルダンパー(小さな穴が空いてる部分)の仕上げの違い(偽物は粗い)
4.極めつけは偽物には実際に存在しない品番(XAはXantiaの意味で、50は50barの意味です。しかし、HSはカタログに存在しない品番です)が打たれています。

こちらのリンクがI.F.H.S.(Hydra Parts)のカタログです。

https://skovgaard-schmidt.dk/wp-content/uploads/2019/06/IFHS-cataloog-18-19-LR01.pdf

以上で、どちらが偽物か皆様にも分かったと思います。

 ネット通販で安いものを見つけると嬉しくなるのは、自分もよくあります。しかし、詐欺の可能性もあります。やはり信頼できるお店で購入することが大切ですし、真贋を見抜く目を養うことも大切です。かの国にはこういった偽物パーツが純正・非純正を問わずあるそうで、頭を悩ましているそうです。

 昔、ブランドバッグを買って品質が悪いと文句を言ったら偽物だったというような笑い話がありましたが、あの自動車パーツバージョンみたいな話です。本当に世界は広く、この極東の端っこに住む私たち日本人には知り得ないことも多々あるのだなと思いました。色々と教えていただいたNV Hydra PartsのErickさんに感謝です。

シトロエンC6のクルーズコントロール不作動の解決方法について考える

新潟のcongです。久々の投稿失礼いたします。さて、シトロエンC6のクルーズコントロール・スピードリミッターがオンになったりならなかったりする問題はC6乗りの間では結構有名なネタで色々な解決方法がネット上でも散見されます。私が困ったときによく参考にしているのは英国のfrench car forumとc6oweners.orgですが、後者で興味深いスレッドを見つけました。

「英国のシトロエンカークラブの雑誌「The Citroenian」のC6コラムを書いているMalcolm Bobbitt氏は、ステアリングの電動テレスコピックを前後に動かすことにより、コントロールモジュール(COM2000ウインカースイッチユニット)への接続が再接続され、作動が回復すると指摘しています。」

こちらがそのスレッドです。

http://c6owners.org/plugins/forum/forum_viewtopic.php?5294.15

この件はフランス本国でも認識されているようで、こちらのフォーラム「Auto Matmut」でも、配線の引き回しに問題があることが指摘されています。

https://forum-auto.matmut.fr/forum/CITROEN/C6/REGULATEUR-DE-VITESSE/850984/67#:~:text=Comme%20CITROEN%20n%27a%20pas,tout%20rentre%20dans%20l%27ordre.

また、ドイツのシトロエンフォーラム「andre-citroen-club.de」のC6セクションでは、ハンドルネームHighlander氏が、「ステアリングコラムの下のケーブルハーネスがきつく置かれすぎていることによる接触不良が原因であることが多い。」とも述べています。

こちらがそのスレッドです。

https://www.andre-citroen-club.de/forums/topic/63264-c6-der-tempomat-geht-manchmal-nicht-an/?page=2

そこで、こちらのスレッドの画像のようにステアリングコラムを外してケーブルハーネスをきつく締めているタイラップを緩めたり、接点復活材を使用したりするなどしてCOM2000ウインカースイッチユニットとケーブルハーネスの接触不良を回復させることが効果的なようです。

http://c6owners.org/plugins/forum/forum_viewtopic.php?2743.15

ダメ元で上記方法を試してみたらここ数ヶ月間絶好調です。今のところ自分の場合にはこれらの方法が一番お金をかけずにこの問題を解決できる方法のようです。他の原因による不作動もあるでしょうから、すべてがこれらの方法で解決できるとは限りませんが、「時々不作動になる」といった接触不良が疑われる場合にはきわめて有効だと思われます。
 そもそも、C6はハーネスに余裕がない気がします。例えば、ヘッドライトの配線も余裕がなくギリギリのため、ディレクショナルヘッドライトをオンにしておくとライトの動きと経年変化で配線が切れます。私はディーラーのアドバイスでC5もC6もディレクショナルヘッドライトはオフにしています。

引用:c6owners.org、forum-auto.matmut.fr、andre-citroen-club.de

C5Ⅲハーフレザーシート修理

お盆休みも終わり、今日からお仕事の方も多いと思います。皆様いかがお過ごしでしょうか。さて、10年以上もの間乗っていると車の内装も色々と痛んできて修理が必要となります。私のC5Ⅲはベージュのハーフレザーシート(座面のみ合皮)ですが、乗後車時に擦れて運転席座面の右側が裂けてきました。傷が大きくなる前に地元の内装修理フランチャイズのt◯◯al rep◯◯rさんにお願いして直していただきました。

修理前
修理後

上の画像のように、とてもきれいに直してもらったのですが、1年もしないうちにまた別の部分が裂け始めました。どうしても乗降時に擦れる部分なので仕方がないのですが、お店の説明では、シートのこの部分が合皮なので、とても弱いとのことでした。革と違って耐久性に劣るとの説明でした。そうこうしているうちに、今度はシートのバックレストのサイドサポート上部の縫い目が大きく裂けてしまいました。C5Ⅲのハーフレザーシートはなぜかバックレストが上半分と下半分の境目で電動可倒式になっています。今まで、何年間もずっと前傾状態のままだったシートバックの上半分を誤って電動可倒スイッチを押して起立させた瞬間にサイドサポートの縫い目がパカッと見事に裂けてしまいました。

バックレストのサイドの「 \ / 」の部分が裂けました。修復・全面張り替え後の画像

今度は革を剥がしての修理が必要ということで、県内で一番有名な自動車内装ショップに見積もってもらったところ、革を剥がそうとしても中のウレタンのアンコと革が接着してあり、革が剥がせないので修理不能という答えでした。当時はその答えの意味がよく分からず、なんとか修理できないかと県内の他店を複数訪問したり、画像を添付して隣県の群馬県や富山県の腕に覚えがありそうなショップにも打診してみたのですが、いずれも修理不能という返答でした。途方に暮れて、ふと思いつき、ずいぶん以前に乗っていたXM-Xの革シートが裂けた時に修理していただいた地元のテント・シート店に相談してみました。そうしたら、そのお店も修理はできないけれども、とても腕が良いお店があるから、紹介してあげるということで、近隣の上越市の某テント・シート店を紹介してくれました。そのお店に伺ったら、以前も同じシトロエンC5Ⅲのシートを修理したことあるので、修理可能とのことでした。そのお店で丁寧な説明を受けて初めて分かったのですが、この年代(2010年代)の欧州車のレザーシート(合皮シートを含む)は「表皮一体発泡工法」で製作されているものが多いそうです。「表皮一体発泡工法」とは、金型にセットしたシートカバーの中にウレタンの原料を注入し、発泡させて成形するもので、身体の曲線にあわせた理想的なシート凹断面形状を実現すると共に、高度な乗り心地とデザインを両立できるのが特徴で何より低コストでのシートの生産が可能です。一方、欠点は修理しようとするとシートの表皮にウレタンがくっついてしまっているのでシートの表皮を剥がすとウレタンがバラバラに崩壊してしまい修理不能になることです。

表皮一体発泡工法の概要 (トヨタ紡織のホームページより引用)

私がお世話になった上越市のテント・シート店は、この際ということで、座面もバックレストもヘッドレスト以外全てウレタンのアンコを一から製作し合皮ではなく本革を使って張り替えてくださいました。作業日数たった1週間でしかも諭吉さん10枚+αの激安料金でした。出来映えも画像のように違和感が全くありません。凄い技術です。感謝しかありません。実は、後で分かったことですが、そのお店が知る人ぞ知る超有名店で東京オートサロンにも出品しているお店であり、レ◯ロジャパンのシートの修理の下請けもしているとのことでした。お店のオーナーも全然気取らない気さくな方で本当に良いお店だなと感心しました。しかし、ホームページでは一切そういった実績には触れていません。宣伝するお気持ちがないようです。昨今はネット社会でネットでお店を検索するのを当然と思っていましたが、口コミの力も侮れないと痛感しました。CCQの皆様の住んでいるところからは遠方になりますし、宣伝する意図は全くありませんが、バイクや自動車のシート関係でお困りで地元のショップで手に負えないようでしたら、ご相談をお勧めします。「上越市 テント シート」で検索して出てくるイニシャル「k」で始まるお店です。ただし、このお店でもどうしてもできないことが、あるそうです。それはバイクシートなどのメーカーロゴの再現だそうです。商標の関係でできないそうです。(レ◯ロは下請けをしている関係で可能と聞いたような気が…。) 今回、私の拙い経験でも皆様のご参考になればと思い、投稿させていただきました。猛暑ですが、皆様何卒ご自愛くださいませ。私は遠方在住なので関東お茶会ですら参加は無理ですが、投稿で8月の福岡のお茶会の様子が分かり嬉しい限りです。今後もお茶会の盛会を祈念しております。

Giuseppe Bazan氏とTecnosir社

フランス・イタリアのシトロエンSMクラブの重鎮であるイタリア人のGiuseppe Bazan(ジョゼッペ・バザン)氏はsphereの頭頂キャップを外して窒素ガスをリチャージできるアダプターを発明した方としても知られています。銀行員だったBazan氏は1983年にDS23パラスを愛車としていましたが、エンジンがブローし、エンジン載せ替えも考えたのですが、ディーラーからSMを勧められて試乗して即決しました。しかし、すぐにサスペンションが堅くなり、それが窒素ガスの不足から来ることが分かりました。そこで、ツールを作ってダイバー用のボンベを使ってsphereに空気を充填しました。それで車の乗り心地はよみがえりました。それをディーラーに見せたら、サンプルのsphereの製作を依頼されて数個の充填可能なsphereを試作しました。それが評判になり、ある1人の青年がCXのsphereにガスの充填を頼みにやってきました。彼はこのsphereを気に入り、協力したいとBazan氏にビジネスのオファーをしました。Bazan氏は銀行家という地位を捨てる気がなかったので、代わりにその青年Carlo Lazzari(カルロ・ラザリ)さんがガス充填可能なsphereを販売し始めました。そして、Carlo LazzariさんとBazan氏の妻のMella(メラ)さん名義で会社Tecnosir(テクノズィラ)を設立しました。そして1986年5月に特許を出願しました。
現在、Tecnosir社のsphere用ガス充填キャップアダプターにはDSやSMの分解式sphere用のValprex 2000-7DSと溶接一体型球体sphere用のValprex2000-9とsaucer sphere用のValprex2000-7C5があります。
私が一番興味があるのがValprex2000-7C5です。

Valprex2000-7DS
Valprex-2000-9
Valprex2000-7C5

ただし、saucerタイプのsphereの場合元々頭頂キャップがないので、sphereの頭頂部にドリルで穴を空けて、タップでねじを切る必要があり、腕に覚えがある人でないとかなり難しく上級者やセミプロ向けです。

その作業動画は「https://www.youtube.com/watch?v=umnd9BWlL1U」にあります。

字幕はスペイン語ですが、字幕なしでも作業の困難さが伝わってきます。そこで、完成品を購入してみたいと思った方は下記サイトをご覧ください。こちらもスペイン語です。

「https://www.clubxantia.es/d/90-kits-de-esferas-multicapa-recargables-originales-citroen-para-xantia-xm-y-bx」

あくまでも個人売買の範疇なので信用度は?ですが、replyを見ると高評価のようです。確証はありませんが、どうもスペインのXantia Activaクラブの関係者のようです。(activaclub.es) .esはEspana(スペイン)の意味
最後になりますが、ガス充填可能なsphereを使用する主な理由ですが、主に
①ガス圧をカスタマイズすることによる乗り心地のチューニング
②ガスを最充填することによるsphereの再生・再利用による節約
③saucer sphereなど多層膜sphereの旧車へのコンバート
特に③について、ただ単にガス圧を変えて、サスペンション各部位に使用可能にするだけでは不十分でsphereのマウント部分の変換アダプターが必要となります。これは下記サイト(activa-club.fr)で購入可能です。

「https://www.activa-club.fr/ActivaShop/fr/accueil/29-adaptateur-sphere-vers-soucoupe.html」

saucer sphereの旧車用アダプター
saucerタイプのsphere(soucoupe)を旧型sphere対応の旧車に装着するには図のようなアダプターが必須です。

本投稿は特定の会社を宣伝する意図は全くありません。お国柄なのかフランス・イタリア・スペインなど南欧のシトロエンクラブが車維持のための色々なパーツの開発にも関与していたり、その活動からビジネスを立ち上げたりする方もおり、また、それらの便利なグッズが購入可能であるということをシェアしたかったのです。また、参照URLもウイルス対策の一環であえてハイパーリンクにしてありません。文章の誤りや問題点等ございましたら、ご指摘ください。

出典:xantia007.free.fr, tecnosirstore.com, activa-club.fr, clubxantia.es, activaclub.es

C4・C6スピードメーター不点灯DIY修理

C4およびC6のデジタルスピードメーターの不点灯について国内外を問わず安価で修理をしてくれる業者が結構見受けられます。ということは裏を返せば比較的簡単に修理可能な案件なのではと考えて、もし自分の愛車がメーター不点灯になったら「DIYでチャレンジしてみよう!」とGoogleを駆使してネット検索したり、某輸入車に強いショップさんや某シトロエンディーラーさんに聞いたりして色々と調べてみました。自分のための備忘録ですが、アップいたします。間違いや見当違い等ございましたらどうかご指摘ください。

1.最初にメーターを外す方法ですが、これについてはCCQのzews様によりアップされているので私もその通りに行ってみる予定です。貴重な情報提供大変感謝です。

2.次にメーターの分解方法です。上下に2つずつ、左右に1つずつ、合計6つのクリップをマイナスドライバー等で爪を浮かせて外します。

3.そして、基板の実装部品の状態を目視で点検します。私はコンデンサーからの液漏れが主原因かなと考えていましたが、色々と調べてみると多くの場合、画像の赤丸で囲んだ部分が焼損しているそうです。この2個のトランジスタの焼損が原因だそうです。これをハンダ吸い取り器でハンダを溶かして外します。この時に他の電子部品を熱で痛めないように、注意が必要です。

4.交換パーツの用意
交換パーツは左の赤丸については「Vishay Si4431BDY」、右の赤丸については「915055 chip」を準備します。ともにトランジスタです。ネットで検索すると数百円の部品です。業者の修理コストはほとんどが技術料だと推測されます。

(左)Vishay Si4431BDY
(右)915055 chip
海外ではC6メーター修理DIYキットが売られています。

ロシア語でネット検索して探したもう一つの症例です。ネオクラシックなフランス車はロシアや東欧に流れていくらしくディープな修理情報をゲットするためにはロシア語は有効です。こちらの場合は赤丸で囲んだ915055 chipが2つ焼損しているのが分かります。どうもこのトランジスタの品質に問題があるようです。

5.最後に2つのトランジスタを交換してハンダ付けをして、動作確認をして修理完了です。

最悪、修理に失敗したら、高価なので、あまり考えたくはありませんが、中古メーターに換装も考えております。その時心配なのはオドメーターの数値です。ディーラーの話ではメーターと車体のコンピュータ(自分はBSIに記録されているのかなと考えていますが…)と2箇所で走行距離を記録していて、そのどちらかの大きい方の数値になるということです。最悪、走行距離が現車より多いメーターに換装した場合、メーターの距離数が増えてしまうかもです。海外では日本と違ってオドメーターの数値とか無頓着なのか、状況や法律についてはよく分かりませんが、オドメーターの数値を直す方法に少なからずヒットして驚きました。こんなことが簡単にできるなら、メーター改ざんは容易かもしれません。自分の乗っているC6は年式の割に走行距離が少ない車です。購入先を信頼してはいますが、メーター改ざんの可能性がゼロとは言えないのかもと疑念や不安が生じました。また、スピードメーターような重要な保安部品をDIY修理しても良いものなのかという根本的な疑念も生じました。業者に任せてのリスク回避も立派な選択だと思います。
 また、修理が完了しても、問題の根源が解決されなければ、同じ症状が再発するでしょう。今回参考にしたc6owners.orgのスレッドによれば、このメーター基板の焼損は低品質なトランジスタによるもので、その交換で修理完了とあります。しかし、サージ電圧が原因ではないかという予想もあり、サージプロテクタを設置してサージ電圧から保護したりパワーレギュレーターを設置して電圧の安定化を図ることがメーターパネルの保護になりかつ他の車載機器の安定作動にも有効ではというスレッドもあります。C6は電気依存度が高い車です。バッテリーやオルタネーターの定期的な点検・交換、サージプロテクタ(サージ電圧保護)やパワーレギュレーター(電圧安定化)の設置、一昔前に流行ったアーシングなども有効かもしれません。

出典:c6owners.org, YoYo Daiagnostic on YouTube, Drive 2.ru

ebayの格安サードパーティー製sphereは「買い」なのか?

先ずはaccumulator sphere のダイヤフラムの変遷について調べてみました。(概略)
1.分解式球形:(LHS用:黒、LHM用:緑)、ダイヤフラム:ELASTOMER単層膜、寿命3年
2.溶接一体型球形(D):(1970年GS以降)、ダイヤフラム:DESMOPAN単層膜、寿命60,000kmもしくは3年
3.溶接一体型球形(U):ダイヤフラムがDESMOPAN単層膜からUREPAN単層膜(寿命80,000km~90,000kmもしくは5年)にアップデートされました。球体の頭頂のキャップ部分に刻印U(また製品のパッケージにUREPANと明記されています)で識別、ただし、すべてがUREPANに置き換わったわけではなく、同じ車種の中でもDESMOPANと混用されています。どのsphereがDなのかUなのかは同じ車種でもグレードによって異なるなど複雑です。
4.溶接一体型球形(M):90年代後半(Xantia Activa以降)、ダイヤフラム:NOK製多層膜、寿命150,000kmもしくは10年、刻印3つの窪みマーク(three dimples)で識別、最初はエンジンベイの中のフロントサスでのみ試用、Xantia最終モデルでは色が緑から灰色(通称銀球)になりました。こちらも上記同様UREPANなどの単層膜sphereとの混用で一気にすべてのsphereが多層膜タイプに置き換わったわけではなく、あくまでも部分使用でした。
5.ソーサー型(仏語 soucoupe):1998年XantiaⅡのメインスフィアから採用、ダイヤフラム:NOK製多層膜、寿命は走行距離200,000km

※上記は主にIH8MUD.COMより引用。ただし、これらのライフサイクルは寒冷なヨーロッパの気候を前提にしたものなので昨今の夏の路上温度が40度Cを超える日本では寿命はもっと短いと思われます。

左からUREPAN球、多層膜緑球、多層膜銀球となります。sphere上のペイント文字や刻印には当然のことですが意味があり、それらの解説ページもネット上で散見されます。

問題のNOK製3層構造のダイヤフラムについては中間層がガス不透過性の材質(0.65mmPVAポリビニルアルコール)で周りの2層(nitrileニトリルゴム)が強度を補強する役割を担っています。中間層のPVAはガス不透過性に強い反面、低温時の屈曲性が弱く、低温で割れやすい弱点がありました。そこで最初はエンジンベイの中にあるフロントサスのsphereのみで試用されたようです。後にソーサー型になったのもダイヤフラムの屈曲性の弱さを補うための形状変更であり、これで堅牢性が大幅に向上したそうです。(出典:xantia007.free.fr, frenchcarforum.co.uk)

左はベルギー製のサードパーティーsphere、右はシトロエン純正sphereのカッタウェイです。純正sphereのダイヤフラムが多層構造なのが見えますでしょうか。(出典:frenchcarforum.co.uk)

さて、結論ですが、NOK製多層膜を用いたsphereはシトロエンが特許を持っているのでサードパーティー他社は許諾なしにNOK製多層膜を用いたsphereの製造ができない(もしくはNOKが他社には多層膜を供給できない)と思われます。(特許番号:フランス9514180 米国5992832) よってシトロエン純正とそのセカンドブランドであるEurorepar以外のsphereは単層膜のsphereではないかと思われます。(実際にI.○.○.S.やLIZ○○TEのsphereはUREPAN単層膜使用との情報あり) したがって、寿命は最長でも5年80,000km~90,000km程度と考えるのが妥当だと思われます。それを承知の上で価格の安さに注目して使うのなら「買い」だと思います。フランス本国ではソーサー型sphereや球形の多層膜sphereを旧型シトロエンにコンバートするTIPSをネットにアップしたり、また、ランクルの掲示板ではランクル100系のAHCハイドロニューマチックサスにシトロエンのソーサー型sphereをコンバートするTIPSをアップしたりする方もいて、sphereのディープな世界に興味は尽きません。(出典:Le club de la Xantia Activa, IH8MUD.COM)

Xantia Activa(sphereを10個も使います)への多層膜sphereの置換互換表(実はActivaのsphereには単層膜のものも多く、アダプター(クラブ会員のみ入手可)を介して多層膜sphereを取り付けるTIPSがあるそうです。
ランクル100系のトヨタ純正accumulator sphereです。これをシトロエン純正の多層膜sphereに換装して楽しんでいる猛者がいます。さらに高価なトヨタ純正AHCフルードの代わりにLDSも入れちゃうそうです。思えば、トヨタには過去セリカアクティブスポーツというハイドロニューマチックアクティブサスの車がありましたっけ。

今回、sphereに関する情報はなぜか英語より仏語の方が有用な情報が多かったです。自分の専攻科目がこんな形で生きるとは思いませんでした。さて、sphereの購入のために自分なりに調べたことをまとめてみましたが、間違い等ございましたらご教示ください。謹んで訂正いたします。

フランスの車総合掲示板CARADISIACからの引用ですが、Toutes les soucoupes de marque Citroen ou Eurorepar sont multicouches.とあります。つまり、All of the saucer spheres of Citroen or Eurorepar brand are multi layered.という意味になると思われます。こういった投稿記事がフランス本国のサイトでは見られ、自分の考えの裏付けとなると思っています。

内装張り替え色合わせの難しさ

7月お茶会の連絡の真上に投稿すみません。さて、1台の車に長く乗っていると往々にして内装がはがれてきたり傷んできたりして張り替えが必要となります。私は1台の車に長く乗る性格上、そういった場面に遭遇することが多々ありました。本当は純正の内張を買ってきて張り替えるのが一番良いのでしょうが、供給終了になっていたり、高価すぎて現実的では無い場合が多く、大抵の場合は町の内装屋さんにお願いして張り替えていただいていました。この時、難しいのが布地の色合わせです。経験者はお分かりだと思いますが、色見本を蛍光灯や日光など色々な光の下で見てみたり、時には色見本を実車の布地に当てて見てみたりしたにも関わらず、実際に張り替えてみると色が合わない(往々にして若干色が明るすぎる)場合が少なくありません。そうやって、何度も失敗して分かったのが、どうも色が合わない原因が「色の面積効果」による錯覚のためらしいということです。同じ色でも小片に塗られたものと大きな面に塗られたものとでは、見え方が違ってくるらしいです。塗面が大きくなると薄い色はより明るく、濃い色はより濃く、強調されるそうです。そこで、ぴったりと色を合わせるには色見本の大きさにもよりますが、合わせたものを基に明度を0.5から1くらい補正(暗い色はプラス補正、明るい色はマイナス補正)すれば良いと聞きました。色見本でよく用いられるマンセル値ですが、下図のように表されます。
例えば、ベージュ「10YR9/2」この場合「10YR」が色相、「9」が明度、「2」が彩度となります。この明度が重要です。明度は数値が高いほど明るい色になります。ベージュのような薄い色の内装の場合、大きな面積になるとより明るく強調されるので、ドンピシャリと思われる色見本よりも明度を1~0.5下げたもの(暗いもの)を選ぶと実際に色が合う場合が多かったように思います。マンセル値が書いてない色見本でも同じ色相で上から明度が高(明るい)→低(暗い)となっているものであれば、1段明度が異なる布地を選ぶのは比較的簡単なことなのかなと思います。また、マンセル値の電子測定器もあるにはあるのですが、価格が税込40万円オーバーでアマチュアには現実的ではない価格です。スマホを使った簡易測定器は安く売られていますが、どうも正確さには欠けるようです。難しいところです。

ベージュの色見本の例、上から明度が9・8.5・8と高(明るい)から低(暗い)となっています。
高温多湿な日本の気候にやられてルーフライナーの裏地のウレタンスポンジが崩壊した結果と思われます。ルーフだけではなくピラーのウレタンも崩壊している場合も多いそうです。ただ、ルーフと違って垂れてこないので崩壊に気づくことはまれです。押すと指の跡がつく場合はかなりの確率で内部崩壊していると思われます。
張り替え後の画像です。布地は前述の方法で私が選びました。施工は業者です。色合わせは比較的うまくいったと自画自賛しております。ピラー・ルーフ・アシストグリップ・サンバイザーの色に違和感があまりありません。

プリンスエンジンの5大疾病(オイル漏れ4連発+高圧燃料ポンプ交換)

C5Ⅲは2010年5月に新エンジン型式5F02もしくはEP6DCT 1.6ターボ直噴エンジン156HP/115KWの通称プリンスエンジンが搭載されたマイナーチェンジモデルが日本発売になりました。私の愛車はまさにこれでLEDポジショニングランプ・手動ファブリックシート・赤クリアテールランプ装備の2011年以降のセダクションモデルと違い、セダクショングレードなのに電動ハーフレザーシートが付いたトラジションモデルとなります。プリンスエンジンはBMWとの共同開発エンジンということで高性能でとても気に入っていましたが10万kmを超えたくらいになって突然トラブルが波状攻撃のように襲ってきました。この6月にやっと下記の4番・5番の修理が完了したので同型車オーナーの参考になればと以下に列挙します。
1.オイルパンのパッキンからのオイル漏れ→パッキンの交換
2.タイミングチェーンテンショナーからのオイル漏れ→タイミングチェーンテンショナーの交換
3.シリンダーヘッドからのオイル漏れ→シリンダーヘッド交換・それに伴って仕様変更されたインテークホースも要交換となり交換
4.オイルフィルターブラケットパッキンからのオイル漏れ→エンジンブロック側とオイルクーラー側の両面のパッキンを交換→オイルクーラー側のパッキンはステランティスでは単独で部品が供給されず(ASSYで70,000円以上)、同型エンジンを搭載する某メーカーのパーツ(単独供給あり)を流用(8,000円以下)
5.高圧燃料ポンプの不調→faultは出ていませんでしたが、1~2日車に乗らないでいてエンジンをかけるとしばらく1気筒が死んでいるような振動が出てしばらくすると収まるというようなことがありました。主治医からは120,000kmオーバーで無交換は珍しいと褒められましたが→高圧燃料ポンプ交換。価格は過去の見積もりで40,000円~50,000円くらいかと思っていたらなんと60,000円オーバーでした。円安の影響による部品価格高騰だったらショックです。
上記のようにプリンスエンジンのお約束のイベントをほぼすべて経験しました。今後200,000kmまで何も起きないことを祈るのみです。また、追加の指摘で左フロントにあるブレーキパッド残量センサーのハーネスの断線(これもXantiaやC5Ⅰ~Ⅲ中期型のお約束だそうです→下図参照)とグローブボックスとダンパーのリンク部分が削れてグローブボックスのダンパーが効かなくなっていることが分かりました。グローブボックスは新しいパーツをオーダーして対応しましたが、困っているのがブレーキパッド残量センサーのハーネスです。ハーネス全交換は大がかりな作業になるのでNGとして、中古パーツを探してきて、中古のコネクター付き配線と断線した配線をギボシで接続しようとしても1本の太い線の中に3本の細い線がある結線なので簡単にはいかず、且つ強度も落ちるようです。サスの上下動で引っ張られる部分なのである程度の強度が必要なようです。どう修理するべきかネットで事例を検索して有効な修理方法について思案しています。主治医曰く、「最近のプジョー・シトロエン・DSはブレーキパッドの残量センサーは廃止の方向で、ハーネスはあってもセンサーの端子を差し込むコネクターの穴がふさがれている車種もあり、放置したらどう。」でした。私もそう思いつつあります。

ハーネス(結線)がコネクター(穴が2つある部分)から切れている状態(中央)となっています
こちらは健康な状態の個体の画像です。上の画像はコネクターの根元から断線しているのが分かると思います。