このところ少しずつ走ってみるようになり、最近の様子など。

エンジン調整、マフラー交換、ヒーターダクト類の締め付けなどを経て、とりあえず問題なく走ることができるまでに。
エンジンストールについては、先月のことでしたがT氏のご子息が所用で福岡にお出での際、「ちょっと見てみましょう」ということで我が家に立ち寄られました。
始動性はよく、ほとんど一発で掛かるのに、走行すると信号停止などでストンと止まってしまうのでアイドリングの調整かと思ったら、そちらには一切手を触れず、キャブ調整だけササッと手際よくされました。

これが適確だったようで、以来まったく止まる気配はなくなり、やはり長年扱い慣れた人はさすがです。
その後、マフラー交換という「大作業」を終えてようやく走り出したところですが、爽快な部分と困った部分、一長一短といったところでしょうか。
爽快なのは、ともかく理屈抜きに走って楽しいことで、運転そのものの喜びを満喫できます。
長いことMTから遠ざかり、安楽快適なAT車が当たり前になったことと引き換えに、運転そのもののダイレクトな楽しさの相当な部分を感覚として少しずつ忘れてしまっていたことに、あらためて気付かされました。
誰かの言葉によれば「車の運転はこの世で最も楽しい行為のひとつ」だそうで、それは充分に自覚しているつもりでしたが、実際は2CVにパチパチとほっぺたを叩かれて目が覚めた気がします。
のみならず、AT車は要するに楽でヒマなので、つい重箱の隅をつつくようにアラ探しみたいなことばかりやっている自分にも気づきました。


乗り心地の良さはやはり特筆すべきものがあります。
通常2CVに乗るということは、表面的には盛大なエンジン音やギアのノイズ、車体のいたるところから発せられる雑音の渦中に身を置き、駆動力のON/OFFにも大きく影響を受けるので、どうしてもそのあたりが目立ちますが、たまにうねりなどがあるとふわ〜んと路面をいなしていくのは、ハイドロと同様でなかなかのものです。
ゆるい下り坂などで、ニュートラルやクラッチを切って空走させると、シトロエン特有の浮遊感が顔を出してくるのは、う〜たまらん!という気になります。
この特定の条件だけでいうなら、我が家の車の中で、最も乗り心地のやわらかなクルマです。

もちろん良いことばかりではなく、現代の気密性の高い洗練された車内空間に慣れていると、なにかと音はうるさいし、快適装備は皆無、エンジンから発せられる排ガスその他の匂いが鼻につくなど、ラクではない点があることも事実。
また、受け渡し直前に動かなくなったという燃料計は、乗っていれば何かの拍子に直るのでは?という淡い期待も虚しく、頑として動く気配はなく、これも今後の課題として残ったまま。

また当たり前ですが、センターロックなどとは無縁だから、ひとつひとつすべてが手動、車を離れるとなるといちいち手間を要します。
それは仕方がないし、2CVがリモコンでパシャッとロックできるようでは、却って興ざめですが…。
片やC5-acではエンジンを切ると同時にATはPになり、パーキングブレーキまでかかってしまうという親切ぶりだから、その差には激しいものがあります。
それでも、MTがこんなに痛快なものだったかと思うと、ラクなことと楽しいことは、まったくの別モノだということが歴然です。

AT車のパドルシフトなどは、一向に楽しさがわからないからDレンジ以外まったく使わないのですが、やはり全身を使ってドライブに参加するMTは理屈抜きに面白く、どこかゲーム感覚でもあり少しも苦にならないのは不思議です。
すでにAT車にお乗りの方が大半を占める中、ひとりこんな気焔を吐くのもどうかとは思いつつ、まあ正直なところなのでお許しください。
なんとか動き出した2CV、…まずはこんなところです。

4月はお茶会に乗って行こうと思っていましたが、あいにくの雨模様で断念しました。
