3月のお茶会はCX登場という思いがけないサプライズでした。

往年の妥協なきビッグシトロエンで、サイズは肥大する現代の車に比べたら中型車ぐらいに過ぎませんが、かつてのフラッグシップだけあって圧倒的な存在感。同色に再塗装されているという塗装も非常に素晴らしく、白いボディと薄いブルーのファブリック内装とのコントラストはまさにフランスのセンス。

外観同様かつて宇宙船的ともいわれた、これぞCXとも云うべきボビンメーター周辺は、40年前に夢見た未来を想起させるようでむしろロマンティックな印象。写真では確認しづらいですが、上部にはキューブ状の警告灯が左右一列にびっしり並びます。

地上に舞い降りた白鳥──1985年式 25 Pallas IEは御年38歳。
前年までは24のIE、85年は25(2500cc)になるものの途中からパラスがGTiとなり、さらに翌年からはシリーズ2へと変化していくので、その点でも貴重といえる一台。
右上の謎の「福岡」の文字が消してしまいたいほどミスマッチ!



ついに路上を走りだした宇宙船。
イエローバルブの光が前方を照らして異次元感はますますアップ。シートに腰を下ろすと一般的な家具のソファーよりもやわらかいフワフワシートにまず驚かされ、車体が動き出した瞬間から浮遊感に包まれます。
エンジン始動後の車体の上がりもサーッと潔く、その動きにはハイドロニューマティックであることのプライドのようなものを感じます。